すくすく赤ちゃん 月齢別育児ヒント
すくすく赤ちゃん ①
赤ちゃんお誕生、おめでとうございます!!
これから赤ちゃんの成長を追ってお話してゆきたいと思います。
赤ちゃんはどの子も例外なく大天才!小さな体に大きな才能が宿っています。大人と違って毎日毎日成長をしてゆく赤ちゃん時代。昨日と今日の赤ちゃんはまったく違うなんて信じられますか?でも本当なんです。劇的な成長を見せるのは生後すぐから約2年まで。しっかり赤ちゃんと向き合って見落とさないようにしてくださいね。
さて、赤ちゃんは出産直後、産声とともに肺呼吸をはじめます。最初の第一声とともに縮んでいた肺に新鮮な空気が送り込まれ肺をぱぁっとふくらませます。取り込まれた酸素は瞬く間に血液とともに全身に送られ赤ちゃんはピンク色の肌に変わります。(これが赤ちゃんと呼ばれるゆえんです) 肺呼吸が始まったと同時に、今まで体内でお母さんとつながっていたへその緒を通しての血液循環は一瞬にして遮断されます。そのため子宮内の胎盤は役目を終え、自然に子宮壁からはがれおちます。命というものすべての流れは驚異的なほど何一つ無駄なく速やかに働いています。生まれて産声を上げるほんの一瞬の間に赤ちゃんは大きな変化を遂げ、胎内から外界に生きる独立した生命として成長しているのです。生まれてすぐの赤ちゃんは目はまだよく見えませんが、ぼんやりと物の形を認識することができます。嗅覚と聴覚は十分に発達していて、お母さんの声や他者の声を聞き分けます。また、においによってお母さんを認識することもできます。生まれてすぐでも赤ちゃんはお母さんをしっかりと認識できるのです。おなかの中で聞いていた鼓動のリズム、声、ぬくもりは生まれてすぐの赤ちゃんにお母さんを教えてくれます。お母さんは赤ちゃんがこの世で最初に愛する人です。赤ちゃんがお母さんを求めるのは本能で知っているから。本能は生きるということ、すなわち自分の命を無条件に託すという、絶対的な信頼と愛情が赤ちゃんには存在しているのです。これだけの愛情は大人になってからでは持ちえるものではありません。純粋な子供時代だけのものです。その愛情を独り占めできるのがお母さんです。(お父さん、ごめんなさい!)
純粋ですばらしい赤ちゃん時代にどっぷりはまって、たっぷりくっついてすごしてください。
すくすく赤ちゃん ②
生まれてすぐの赤ちゃんの大きな鳴き声に、陣痛の辛さも消え去って喜びの涙を流したお母さん、その安堵もつかの間、今度は泣き声におろおろしていませんか?
赤ちゃんが泣くと、なぜ泣くのだろう、おむつかしら?、おなかがすいたのかしら?,かゆいのか、痛いのか,お母さんはおろおろしてしまいます。泣く事が赤ちゃんの苦痛や不満のあらわれのように受け取ってしまうからです。
でもそうではありません。赤ちゃんにとって泣く事は最初のコミュニケーション,言葉です。意思を持って音声を作り出す事はまだできません。でも呼吸によって声帯をふるわすことはできる。それが泣き声です。体はまだ生きるという本能でしか活動していません。でも毎日の生活から赤ちゃんはどんどん刺激を受けて脳細胞を発達させ、身体的,精神的能力を発達させるとともに,意思を喃語で表現するようになってゆくわけですが,それまでは泣き声が赤ちゃんの唯一の言葉でもあるわけです。ですから泣き声にはたくさんの意味があります。
出産直後はお母さんも慣れないため意味を読み取るのが難しいかもしれません。でも赤ちゃんの泣き声を怖がらないで,じっくり観察しながら声をかけて会話してあげてください。
最初のころの泣き声は本能からの欲求がほとんどです。空腹,排便,甘え、睡眠、温度などの快,不快が中心です。赤ちゃんは産まれてすぐにお母さんは誰だか知っています。だから泣く事によってお母さんに一生懸命呼びかけているのです。そして生まれてすぐであっても、赤ちゃんはお母さんの胸が1番心地よい場所であることも知っています。
お母さんが抱くと赤ちゃんはおっぱいを探す動作をよくします。そのため、お母さんは赤ちゃんがおなかがすいていると勘違いし、場合によっては自分のおっぱいが足らないと思ってあわててミルクを足してしまいます。ミルクはボトルで飲むため、とても簡単に飲めてしまうので、赤ちゃんはおなかがいっぱいでも入ってしまいます。その上、消化時間がおっぱいよりかかるので、次の授乳まで時間が空いたりします。ますますお母さんは自分のおっぱいが足らないと思ってしまいます。
でも違うんです。おっぱいを探す行為は空腹時だけではなく、赤ちゃんがお母さんを求める、甘えたい、抱かれたいという赤ちゃんにとって最高の心地よさを求める、究極の愛情表現なんです。
だからこんなときはくわえさせても真剣に飲みません。ちょっと吸って寝てしまうはずです。おなかがすいているときはもっと強く真剣に吸います。赤ちゃんの甘えの表現にだまされてせっかく出ているおっぱいから、かえって離してしまうようなことにならないように気をつけてくださいね。
泣く事が赤ちゃんの苦痛の訴えと思って泣かせてはいけないと思ってしまうお母さんや家族たち、そんなことはありません。泣く事は言葉と同じ大きな意味を持っています。
あせったり,心配したりしないで,赤ちゃんが泣いたらおおらかに,どーんと構えて「はい、なあに?」と声をかけ会話を楽しんでみてくださいね。
すくすく赤ちゃん ③
泣く事を心配するお母さんがいるかと思えば、逆に泣かない事を心配するお母さんもいます。
ほとんど泣かない,小さい声でふにゃふにゃしか言わない,すぐおとなしくなってしまう、などなど。本当にまったく声を出さないなら問題は別ですが、小さくても声を出しているなら心配しないで。
産まれたときはしっかり泣いたはず。その声は覚えているでしょう。
泣かない,というより,この赤ちゃんはきっと探究心が豊かなのかのしれませんね。
ちょっと声を出してみて,または声を出す前に一生懸命周りの様子をうかがっているのかもしれません。それともお母さんや家族がすぐにそばにいて,要求する前に満たされているのかもしれません。目や耳,におい、触感などを活用して何かを感じようとているのでしょう。
赤ちゃんは動けない,話せない,でもとてもおりこうなんですよ。私達が普段何の気にもとまらない空気の流れ,におい,音,光,などに敏感に反応し,刺激をたくさん受けて,驚くべき速さで脳細胞の神経系を発達させています。これらが赤ちゃんの精神的,身体的発達を驚異的に伸ばしてゆきます。ただ寝ているだけの赤ちゃんですが、大人では到底おこリえない急激な発達を毎日行っています。ですから,時々疲れて夜泣きをしたりするようになります。 2才くらいまでは急激な内的発達をして,身体能力が発達してゆくに連れ徐々に落ち着いてゆくわけです。ですから,乳幼児期,お母さんをはじめとする家族や外界から積極的に話しかけ,ふれあうという働きかけが重要です。
わぁわぁ泣くか泣かないかはその子の個性でもありますが,泣く,という事はその子の要求でもあります。もし,泣いたり,声を出したりするのをお母さんや家族が無視したり,反応しなかったり,うるさいと拒否したりすれば,徐々にその子は要求する事をしなくなってしまいます。本能で親を求め,本能で愛情を表し,本能で快不快を表現できるときにそれらを受けとめてやらなかったら、正常な心身発達を止めてしまう事になります。これは恐ろしい事です。
お母さん,長い人生の中,自分の子供と接していられる時期はほんの十数年しかありません。
生まれてわずか数年たてば子供は自分の意思でどんどん外に向かって歩いてゆきます。親子として,自分の手のうちにあって,すべてにおいて子供が身も心もをゆだねているときはその中のたった2~3年です。自分が生きてゆく何十年のうちのたった2~3年です。
それに気づけば,赤ちゃん時代の貴重さがわかると思います。どうぞ、このすばらしい赤ちゃん時代をたっぷりと楽しんでくださいね。
すくすく赤ちゃん ④
"うちの子は新生児なのになのに眠らない"、こんな疑問を持つ方が最近増えてきました。
育児書を見ても新生児はおっぱいのとき以外は、眠っているときが多い、とかかれています。
あまり眠らないのでどこかおかしいのかしら?、と心配するお母さんも。でも、これは心配しなくていいのです。どうやらこれも時代の流れ?、今の新生児は20年前の赤ちゃんに比べて、覚醒も早く、発達も早いようです。環境の整備、医療の進歩、生活の向上などから母体の栄養状態はきわめて良好、それゆえ、赤ちゃんの栄養状態も良く、脳細胞の発達も進んでいるようです。起きている時間が長ければ、それだけ多く外界から刺激を受け、たえず赤ちゃんの脳は発達してゆきます。
脳の発達は体の発達も促してゆきます。起きてばかりで、すぐ、ぐずぐず泣いて困ってしまうときもあるでしょう。でも、大人だって自力で動けなくて寝たままでいたら、つまらないし、さびしいはず。誰かを呼んでそばにきてもらいたいはずです。赤ちゃんも同じこと。新生児といえ、何が心地よいかはよくわかっています。まして言葉も出せない、自分の意思で体を動かすこともできない赤ちゃんです。ぐずぐずを泣いて呼ぶしかできませんよね。一人、ほおって置かれるより、優しい、暖かい腕に抱かれるほうがずうっと心地よいはずです。こんなときは赤ちゃんに声をかけてかまってあげてください。もし、忙しくて手が離せないときは、赤ちゃんにひとこえ、「待っててね」と声をかけておきましょう。赤ちゃんの訴えを無視するのではありませんし、すぐにかまってもらえないときもあるのだ、という学習でもありますから、少しくらい泣いてても平気です。呼吸と発声の運動です。
また、起きている時間が長いほど、脳細胞が刺激を受けて発達してゆく、というのは赤ちゃんに疲労感を与えることでもあります。大人なら、疲れたら休む、本を読む、散歩をする、伸びをする、etc、頭の疲れを発散させることができますが、自分の意思で手足も上手に動かせない赤ちゃんは、気持ちを切り替えることも、発散させることもできません。結果、体は疲れて休みたいのに脳は興奮状態になってしまい、眠いのに眠れない、という状態に陥ってしまいます。このような場合、抱いたり、おっぱいを含ませたりして落ち着いて眠りには入れるならいいのですが、時にそれもできないくらい赤ちゃん自身がパニックに陥り、おっぱいも受付けないほど泣きわめく場合があります。
夕方泣き(たそがれ泣き)や夜泣きはこのような原因が多いのです。カナダではPurple Cryと呼ばれますね。このような時はお母さんもつらいけど、赤ちゃんもつらいのです。落ち着くまで抱っこしてあやしてみて、少し落ち着いたらおっぱいを含ませたり、ミルクをあげたりしてみてください。それらを受け入れたらOKです。抱っこだけでも落ち着かないときは、部屋を移動したり、窓を開けて空気を換えてみてください。ベランダに出たり庭に出るのもいいでしょう。家の周りを歩くのもOK。 空気が変わると意外とすっと落ち着く場合があります。1ヶ月未満でもきれいな外気は吸わせていいのです。むしろ新鮮な冷たい外気は新生児の気管支を広げて呼吸器の発達を促します。ぐずって泣き止まないときは試してみてください。こうして、しばらくぐずりが続いても、脳と体の成長発達とともに、また受ける刺激を上手に処理できるようになると、ぴたりとおさまります。そしてまたぐんと1段階発達し、また新しい学習を続けながら、また時にぐずり、またしばらくして収まる、とこのような過程を何度か繰り返しつつ成長してゆきます。ぐずり、夜泣きはずっと続くものではありません。
病気じゃないかと心配するお母さんもいますが、元気に泣くのは健康の証拠です。もし、なんらかの異常があるなら、必ずほかの兆候も伴います。たとえば、顔色や唇の色が悪い、食欲がない、おしっこやうんちが少ない、でない、下痢をしている、吐く、どこかを痛がるetc。食欲はある、うんちやおしっこも普通、顔色も良く、皮膚の弾力もあるなら、まずほとんど心配は要りません。
それからもうひとつ。おっぱいを飲むのが上手になるほど、赤ちゃんはたくさんのおっぱいを飲んでゆきます。赤ちゃんのいは柔らかく飲めば飲むほど大きくなりますが、ちいさな体に内蔵がぎゅっと詰まっている上、内臓の筋力が未熟でよく動かないので、空気の力を借りて腸を動かしウンチをします。飲めば飲むほどお腹は張るし、ガスと一緒に動く腸も不快で、時に痛みにも感じます。そんな時赤ちゃんは寝たいけれどお腹が気持ち悪くて眠れません。その不快を表すにも、おっぱいを探す動作をしてしまうので、うっかりあげすぎると余計苦しくなってしまうことも。十分飲めていると判断できるなら、臍下を「の」の字に少し撫ぜてあげたり、上半身を高めに抱いたりしてあげるとよいでしょう。おならやウンチが出るとスッキリしたりしておとなしくなります。
すくすく赤ちゃん ⑤
生まれてすぐの赤ちゃんは、一見自分で動けない、泣くだけのお人形のようですが、体の中ではものすごい勢いで発達成長をしています。たとえば、視力。赤ちゃんの目はあまりよくは見えません。しかし、おなかにいるときから光に対して反応することがわかっています。生まれてすぐの赤ちゃんの視力は0.01くらい、全体にぼんやりしている感じですが、もちろん、近くのものが動くことや、光の強さはわかります。赤ちゃんは目はよく見えなくても生まれてほどなく、自分のお母さんを認識します。赤ちゃんはお母さんの顔についているの目の位置をはっきりと認識し、顔の輪郭をおぼえます。さらににおい、体温、心拍数などでいち早くお母さんを知るのです。ですから、赤ちゃんを抱くとき、語りかけるときはできるだけ赤ちゃんの目をしっかり見つめて話してあげるといいでしょう。新生児は鼻が低く根元が十分に発達していないため、目の間が広く、白目の内側が見えないためと、眼球を支える筋力が弱いため斜視のように見えて心配される方が多いのですが、これは問題ありません。1ヶ月前後でしっかりしてきます。 2~3ヶ月ころになると視力は0.03~0.04くらいに上がってきます。焦点もしっかりしてきて、動くものを目で追ったりできるようになります。あやしてくれる人としっかり目を合わせるようになってくると、表情も一段とかわいくなってきます。6~8ヶ月ころで0.05~0.08くらいになり1歳ころで0.2くらいになります。
赤ちゃんの目は毎日の生活の中でどんどん刺激を受けて視力を発達させてゆきます。私たちにとってなんの刺激にもならない室内が、実は赤ちゃんには毎日のように変わる刺激になります。昨日より今日、今日より明日と毎日赤ちゃんの脳細胞は発達し、視力も伸びて、たとえ同じ環境であっても発達するごとに新しい情報を与えられてゆくのです。字を読めないときに絵本を見るのと、読めるようになって絵本を見るのとでは、入ってくる情報が格段に違います。それと同じことを赤ちゃんは毎日行っているのです。
目はものを見続けていないと視力が伸びません。赤ちゃんの目を長時間おおってしまったり、暗い部屋などに入れっぱなしにして刺激を与えないでいると視力の発達は止まってしまいます。そのため、弱視や、時によって失明することもありえるのです。新生児だからといって、いつもおっぱい以外は暗い部屋に入れて寝かせるように気を使う方もいますが、むしろ、日常の生活のまま、朝と昼は明るく、にぎやかでもよし、夜は暗く静かに、でかまわないのです。赤ちゃんには環境に適応する能力もあり、眠ければ、たとえうるさくても明るくても眠るものです。周りが神経質になりすぎると、かえって赤ちゃんも神経質になって、小さなことでぐずったりしやすくなります。
聴覚は胎内でも早く完成して発達しています。すでにおなかの中で家庭の雰囲気を味わっていますから、あまり気にせず、おおらかに、赤ちゃんと暮らしてゆくといいでしょう。
目の内側には鼻涙管がありますが、赤ちゃんの鼻涙管はとても細くて内腔が狭いため、詰まりやすく炎症を起こしやすいので、注意が必要です。毎日、きれいなお湯か水で絞ったタオルで目の内側から外に向けて拭いて汚れを取ってあげてください。一度拭いた面でもう1度拭いたり、外側から内側に逆に拭いてしまうと汚れを鼻涙管に戻すことになり、感染の原因にもなりますから気をつけてください。しょっちゅう目やにが出る、片方しか涙が出ない、などは鼻涙管の詰まりや感染が考えられるので受診してください。
★ペットと暮らす赤ちゃんの注意
動物はとてもおりこうです。赤ちゃんという新しい家族は最初はちょっと警戒するかもしれませんが、ちゃんと受け入れます。まずは動物に赤ちゃんが上の立場にいる、というランク付けをしっかり教えてください。赤ちゃんの存在に家族がかまけてペットを忘れてはなりません。ちゃんと愛しているという意思を伝え、上手にスキンシップし、ペットのストレスをなくしてあげましょう。その上できちんとしつけをします。ペットが赤ちゃんの上に乗ったり、前足を体にかけたりさせないように最初にきちんと教えましょう。ペットの体の清潔に気をつけ、定期的にシャンプーし、ブラッシングをしましょう。掃除機もこまめにかけてください。
ペットの体には菌やダニがいっぱいついています。直接赤ちゃんがなめたりしないように気をつけて。ペットの口の中にも未知な菌がいっぱいです。決して顔や口をなめさせないように。赤ちゃんがペットの噛みおもちゃをなめないように、またペットのえさや水、トイレに近づかないように。赤ちゃんのおもちゃをペットがなめないように気をつけてください。
赤ちゃんは温かく良いにおいがしますので、ペットは赤ちゃんのベッドに乗りたがりますが、乗せないようにしましょう。
ペットと遊んだあとは手洗いしましょう。
すくすく赤ちゃん ⑥
赤ちゃんの聴覚は意外と早く発達していて、実はおなかにいる6ヵ月ごろには音を感じることができるようになり、8ヶ月ごろにはおなかの外の音などを聞くことができるそうです。ですから赤ちゃんはお母さんや周りの人の声、ほかの音を一生懸命聞いているのでしょうね。前回、視力の発達には日常の「見る」ということがとても重要と述べましたが、聴覚もまた同じく、「聞く」ということが大切なのです。いろいろな音を聞くことによって乳児の聴覚は発達し、脳細胞を発達させてゆきます。この「聞く」ということはもうひとつ、とても重要なことが関わっています。それは言語の発達と密接な関係があるということ。周りの言葉を毎日毎日絶えまなく聞き続けることによって、乳児は言葉とその意味を体全体で習得し、蓄積し、発声の発達とともに言葉の発語へとつながってゆきます。
聴覚に問題があると、音を聞くことが出来ないため、自分の発生音も聞くことができず、そのため言葉を発声することが出来なくなります。そのままでは、最終的に声帯に異常がなくてもうまく話すことが出来なくなってしまいます。昔、幼いときから耳が聞こえない人は話せない人が多く、聾唖(ろうあ)と言う二つの障害をもってしまうというのがほとんどだったのはこのためであったのです。現在は医学も発達し、聴覚異常も早期発見が可能となり、優秀な補聴器や数々の治療法、発声のための特別な学習方法など多くの手段が発達してきて、聴覚に問題のある場合のサポートがとても良くなってきています。
カナダでは産後すぐ早い時期に聴覚検査を行っていますので、必ず受けましょう。
聞く、ということは赤ちゃんにとってとてもとても大切なもの。おなかにいるときから積極的に話しかけてあげて下さいね。赤ちゃんはすぐに答えたりしませんから、わかっていないように見えますが、言葉のもつ意味を体全部で受け取って感じています。
国際結婚の場合、2ヶ国語で話しかける家庭もたくさんあると思います。赤ちゃんが混乱しないかしら、と心配される方もいますが、そんな心配は無用です。どちらが赤ちゃんにとって第1言語になるかはわかりませんが、気にせず、どんどん語りかけてください。その場合、例えばお母さんは日本語だけ、お父さんは英語だけ、家族全部は英語、などときちんと分けておくこと。2言語を混ぜて話したりしないようにします。
このような家庭の場合、赤ちゃんの発語が少し遅めのことが多く見られます。でも大丈夫。ちゃんと赤ちゃんは聞き分けて覚えます。言葉を自分から真似て話そうとしだすころからは、物の名前や表現など、最初に覚えた単語が先に出てくるようです。その場合、時に2ヶ国語が混ざり合った話し方になることがありますが、ご両親はそれぞれの言語をはっきりクリアに話すようにしてください。
家庭に長くいる乳幼児期は、比較的長く接しているお母さんの言葉を優先的にはなすことが多いようですが、3~5歳になり現地の学校に行くようになあると現地語のバリューがぐっと増え、使っていた言葉がひっくり返ってしまうことも多く見られます。
このような場合もあわてず、もし、2ヶ国語を維持したいなら、常に家庭では両方の言語をきっちり分けて話し続ける努力が必要です。どうしても日常生活で多く時間を取ってしまう言葉に偏っていってしまいます。でも、焦ったり、怒ったりしないで話し続けてゆくようにしましょう。
すくすく赤ちゃん ⑦
赤ちゃんの視力を簡単にチェックする方法です。眼科での視力検査は3歳から可能です。1年に1回の視力検査はBCメディカルでカバーされますのでお子さんが3歳になったら検査を受けましょう。それまでは日常接しているご両親や家族の方がお子さんをよく観察してください。下記に簡単な目のチェック内容を示しました。参考にしてください。あまり神経質にはならないでくださいね。お子さんが小さいほど、そのときの気分が状況で様子をつかみにくいので、機嫌のよいときにさりげなく行うのがコツです。あくまでも目安ですから、気になる項目があっても1度で判断せず、よく観察しながら日を置いて繰り返しチェックしてください。
この項目の中でおかしいと思われるところがありましたら、まずはファミリードクターに相談し、必要あらば専門医を紹介してもらいます。よく、近視が遺伝しますか?、ときかれます。近視は軸性近視と屈折性近視がありますが、軸性はもともともっている眼軸が普通より長いため引き起こされるもので、これは遺伝要素がありますが、それでも率的には3~5%程度と低いので、近視にさせない環境つくりがまず大切です。近視は後天的に引き起こされる場合がほとんどです。
以下の質問の¥答えに該当する項目があったら、注意して観察し、受診してください。
*生後1ヶ月まで*
① 黒目の大きさは左右同じですか?
② まぶたがはれていませんか? めやにがたくさんでていませんか?
③ 瞳(黒目の中央)が白く見えたり、光って見えたりしませんか?
* 生後3~4ヶ月まで*
① 目の前で明るい光を当てるとまぶしがりますか?
② 眼球の動きがおかしいと感じることはありますか?
③ 斜視はありませんか?(正面から見たとき左右の眼球の位置がずれていませんか?)
**この項目は小学校までチェックします。
④ 涙や目やにがいつもたまっていませんか?
⑤ 瞳(黒目の中央)が白く見えたり、光って見えたりしませんか?
* 生後6ヶ月~2歳前後*
① 異常なほどに光を嫌がりませんか?
② 瞳(黒目の中央)が白く見えたり、光って見えたりしませんか?
* 生後2歳前後~3歳前後*
① 明るいところに出たとき片目つむりをしませんか?
② 物を見るとき異常に近づいてきませんか?
③ 物を見るとき目を細めたり、横目で見ようとしませんか?
④ 物を見るとき首を傾けて見ようとしませんか?
上記の中で、特に1歳未満で瞳の中が白く見えたり、光って見えるときは要注意です。
神経細胞芽腫の疑いがありますので、早期に受診してください。
すくすく赤ちゃん ⑧
今月は聴覚のチェック方法です。乳児の聴覚は外観で判定するのはとても難しいので、あくまでも参考程度と思ってください。赤ちゃんの精神的、肉体的発達には子供によって大きな差があります。2~3ヶ月のずれがあってもおかしくありません。一度や二度のチェックで正確な判定はできません。日常、よく赤ちゃんを観察しているお母さんや家族なればこそ、見つけられるものがあります。心配しすぎるとかえって見落としてしまったり、気がつかなかったりすることもよくあることです。神経質にはならず、おおらかな目で赤ちゃんの発達を見てあげるようにしてください。
生後0~2ヶ月前後
① 突然の大きな音にビクッとする
② 眠っていて突然の大きな音や聞きなれない音に起きるか、泣く。
生後3~6ヵ月前後
① 日常の音(おもちゃ、ドアの開閉、TVやラジオ、ステレオ、電話、楽器音、インターホン、時計 ほか)に興味を示したり、顔を向ける
② お母さんや家族の声のする方向に顔や視線を向ける
③ 不意の音、聞きなれない音、珍しい音に顔を向ける、反応する
生後7ヶ月~1歳前後
① 外の音(戸外、隣の部屋、車や動物の音など)に関心を示す。
② 歌や音楽にあわせて体をゆする(11ヶ月過ぎ~)
③ 音のするほうに向かっていこうとする
④ 「おいで」「ばいばい」など人の言葉に応じて行動する(11ヶ月過ぎ~)
⑤ 「ママ」「ねんね」など、人の言葉をまねようとする(10ヶ月過ぎ~)
⑥ 気づかれぬようそっと近づき、うしろから名前をささやくように呼ぶと振り向く(10ヶ月過ぎ~)
1歳~1歳半前後(この辺りからはかなり個人差が出るので、必ずしも皆が発語できるわけではありません)
① 意味のある言葉、単語、幼児語が出る
② 「あれとって」など単純な言いつけを理解し行動する
③ 物の名前などを記憶し、それを言うと教えたり、持ってきたりする。
第1子は、周りが大人に囲まれているため、常に大人の会話を聞いているため早く話し始める子が多いようです。第2子以降になると子供どうしの時間も多く、また、親が子供の行動パターンを読み取れるので、さきまわりして動くことも多く、したがっていそいで話さなくても事がたりてしまい、話すのが上の子に比べて遅め、ということもよくあります。すべての子供が同じではありませんし、子供の個性、家庭環境も異なりますので決して誰一人として同じように育ちません。平均値や一般論に惑わされないようにしてくださいね。
すくすく赤ちゃん ⑨
今月から月齢にあわせた赤ちゃんの特徴をお話してゆきましょう。でも、あくまでも赤ちゃんの発達は個人差が大きく、早くできる子から遅い子までの差が2~3ヶ月以上ある場合もありますから、決してほかの子と比べたり、育児書のとおりに鵜呑みにせず、自分の赤ちゃんをしっかり見つめて、機嫌や健康状態を把握するようにしてください。
生まれたばかりの赤ちゃん、特に生後4週までの時期を新生児期(New born baby)といいますが、この時期の赤ちゃんは初めて外界に出て、はじめたばかりの肺呼吸をしながら小さな体で一生懸命外界の生活に慣れようとしている重要な時期です。
一見、眠っているかおっぱいを飲んでいるかだけの赤ちゃんですが、目をあけては周りの刺激を際限なく取り入れ、周りの音をどんどん聞き続け、泣く、という唯一できる発声でコミュニケーションをとろうとしています。何度もこのコラムでお話しているように、泣く、ということは赤ちゃんの最初の言葉です。泣くことを不快や苦痛の表現ばかりに受け止めておろおろしてしまうお母さんがたくさんいますが、呼びかけや甘えも泣く、という表現になりますから、焦らずおおらかに受け止めてあげましょう。赤ちゃんは全身で周りの雰囲気をキャッチします。周りが不安がったり、おろおろしていると赤ちゃんもそれを察知してぐずったりしてしまいます。「ど~んとこい!!」のたくましいお母さんになりましょう。
まだ目は30cmくらいしか見えませんが、これは抱っこした赤ちゃんがお母さんの顔を確認できる距離。赤ちゃんの目をしっかり見つめ、アイコンタクトをして話しかけてあげて下さい。赤ちゃんの気持ちがだんだんわかるようになってゆきます。アイコンタクトは愛コンタクト。積極的に語りかけ、抱っこして全身でお母さんの愛を伝えてください。
新生児期は睡眠時間が多く、眠っては起き、飲んで、出して、また眠り、の繰り返しですが、だからといって、周りを暗くしたり、静かにしたりしなくていいのです。朝や昼は明るく、普段のままの生活の中に赤ちゃんを置いてあげてください。どんなにうるさくても眠いときは眠ります。
神経質になるとかえって赤ちゃんも過敏になってしまいます。おなかにいるときから家庭の音を聞きながら雰囲気を味わってきたのですから、生まれたあともそのままで良いのです。その中で赤ちゃんは朝、昼、夜と生活のリズムを付けてゆきます。
新生児はあまり動かないので、気楽にソファや大人のベッドなどに置く方が多いのですが、実は手足を上下に動かすだけで、かなり体をずらすことができます。そのため、ソファから落ちてしまってびっくり!ということが意外と多くあるのです。新生児だから、と楽観せず、柵のないところに置いた場合、決して目を離さないようにしてください。赤ちゃんは落ちる、という自覚がないため無抵抗で落下します。かえってそれが自然の受身になって守られる場合もありますが、落ちた場所が固い床面だったり、家具に頭をぶつけたり、鋭利なものでケガをしたりすると大変危険です。家の中にも危険はいっぱい。でも、ちょっとした注意で赤ちゃんを守ることができます。
すくすく赤ちゃん ⑩
生後6週~12週くらいになると小さなものなども少しずつ注視できるようになります。お母さんが少し離れていても、目で一生懸命動きを追うこともできるようになってきます。手の力も徐々についてきて、軽いものを少し長く持っていることもできます。泣く、という発声しかできなかった赤ちゃんが、それ以外の発語をはじめます。ご機嫌の良いときに、「あぅ~、うっく~」など可愛い声を出し始めます。これが赤ちゃん言葉の始まりです。中には大きな声で叫んで家族をびっくりさせる赤ちゃんも。起きている時間も長くなってきて、その分甘えたにもなってきます。
大人だって寝たきりはつまらないもの。赤ちゃんは何が心地よいかをよく知っています。だから退屈になったりさびしくなれば、一生懸命声を出したりぐずったりしてお母さんたちを呼びます。お母さんが抱けば、すぐに母乳を欲しがるようなそぶりをする赤ちゃんが多くて、おかあさんは母乳が足らないのか、と心配し、なかにはあわててミルクを足す人もいますが、ちょっと待って。
赤ちゃんは生まれてすぐにお母さんだけはしっかり認識しています。お母さんがおっぱいをくれる(持っている)人、ということも良く知っています。おっぱいは赤ちゃんにとって食料でもありますが、最初のおもちゃでもあり、精神安定剤でもあります。おっぱいをくわえている、ということで赤ちゃんは一番心が休まるHAPPYな状態になれることを知っています。だからおなかが空いていなくても、お母さんが抱けばおっぱいを求めます。そんなときはくわえても真剣には吸いませんし、すぐ飲むのを止めてしまったり。ですから、約3時間前後に20分~40分、しっかり飲んでいて、体重も増えているし、おしっこもいっぱいするし、ウンチもたくさん出ている、顔色もよく、唇もしっとりして皮膚につやと弾力があるなら、母乳が足らないことは決してありません。
甘えて欲しがるときはくわえさせてもいいのですが、しょっちゅうでは疲れますから、てきとうに散歩したり、あやしたりしてごまかしてもかまいません。赤ちゃんはとてもおりこうですから、おばあちゃまやパパ、他の人が抱くとおっぱいが無いのはわかっていますので、そんなときは求めません。家族の人にタッチ交代するのもいいでしょう。
授乳は集中してしっかり飲まさなければなりませんから、授乳間隔を2時間は最低空けて与えるようにしてください。また、同時期、最初は硬く張っていたおっぱいが張りにくくなり、柔らかく、元のおっぱいに戻ってゆきます。張らないから出ないのではなく、乳腺が十分に開通し落ち着いてきて、飲む赤ちゃんとお母さんの作るバランスも完成してきたから張らなくなります。柔らかいおっぱいは、赤ちゃんが吸うと同時に新鮮なミルクを作り出し、いつでもできたてを飲むことができるようになっています。赤ちゃんの飲み方が上手になってくれば、最初は何十分もかかっていたのに、左右20分前後であっさり終わってしまう赤ちゃんもいるでしょう。でも心配は要りません。短い時間で力強くたくさん引き出せるようになっているのですから。
赤ちゃんは毎日、毎日それぞれの子がそれぞれのペースで成長しているのです。
赤ちゃんは自分では動けず、話せず(大人の言葉を)ですが、その分大人には無い、超感覚的なものが備わっていて、単語としての理解はできなくても言葉に込められている感情を体中でキャッチします。植物や動物を愛情込めて優しく言葉がけしていれば、美しく花開いたり、おだやかに健やかに成長するのと同じく、赤ちゃんも周りの雰囲気、言葉に込められた感情を理解しています。周りがゆったりと穏やかであれば、赤ちゃんは安心して落ち着いていられます。逆に優しい言葉を使ってもおろおろしていたり、いらいらしていたりしては赤ちゃんも不安になったり神経質になったりしてしまいます。授乳にも慣れてきたお母さんが、おっぱいをくわえさせたまま、他の人と話に夢中になっていたりTVや本を見ていたりの「ながら授乳」をしていると、おっぱいを飲んでいる赤ちゃんが怒ったり、乳首を引っ張ったり、離したりする経験はありませんか? 赤ちゃんはお母さんの気が自分に向いていないのをちゃんとわかっていて抗議したりするのです。
忙しい毎日の中での授乳時間は結構頻回で手間取るかもしれませんが、この時間は赤ちゃんとお母さんだけのマンツーマンのスキンシップの時間です。そしてこんなに密接な時間は長い人生の中のわずか1~2年しかありません。このあとは子供たちはどんどん親から離れて歩いてゆきます。こんな貴重な時間をゆったりと楽しく過ごしてあげてくださいね。
すくすく赤ちゃん ⑪
生後12週~16週くらいになると首の筋肉もだいぶ強くなってきて、俗に言う首すわりができてきます。腹ばいにすると頭をしっかりと持ち上げ、自分の意思で頭を持ち上げたまま周囲を見回したりもできるようになってきます。たてに抱っこしていても、一生懸命首を起こして頭を立たせてくるでしょう。でも、赤ちゃんの頭はまだまだ重くてバランスが取りにくい状態です。ときどき、かくん、と頭を倒してしまいますから、まだしばらくは頭や首を支えておいてあげて下さい。
かなり小さいものもしっかり目で捕らえるようになってきて、つかんだ物を自分の口元に持ってくるのも上手です。赤ちゃんはどんなものでも口でまず確かめます。汚いもの、誤嚥、窒息する危険のあるもの、顔にかぶってしまったら取れにくいもの、毒性のあるもの、鋭利なものなど、赤ちゃんが口に入れたら危険なものは、赤ちゃんの手の届く範囲から取り除いてください。まだ動けないのだから、と安心は禁物です。手足の力もついてきて、上下に活発に動かせるようになると、かなり上下に体をずらしてしまいます。
大きなベッドの真ん中に置いたのに、いつのまにか落ちてしまったり、ソファから落ちるのはとてもよくある事故例です。赤ちゃんは無抵抗で落ちるので、場合によっては自然の受身となって大丈夫な場合もありますが、落ちた場所に硬い家具があったり、シャープな角にあたったり、われものがあったり、と危険はどこにでも隠れています。寝返りができないうちは、ちょっとした段差があれば乗り越えることはできないので、動いて落ちるのを防止できます。柵のないところに置くときは、赤ちゃんの周囲に何かを置いて、危険の無いようにしてください。ただし、置いたものに赤ちゃんが顔をうずめてしまうような柔らかいものは危険です。
12週くらいまでは、一日あたり20~60グラム前後の範囲で体重が増えてきた赤ちゃんですが、そろそろ増えがゆっくりとなだらかに変わってきます。体を動かせるようになればなるほど、からだもしまってきます。また、上に伸びたり、太ったり、と交互になってきたりします。なかには2~3ヶ月体重の増減があまりない子もいますが、本人の機嫌、顔色などが良く、よく飲み、排泄にも問題がなければ、心配は要りません。ちゃんと背も伸びて成長しています。成長や運動機能の発達の度合いはこれからどんどん個人差が出てきます。よその子と比べるのではなく、自分の子供をしっかり見つめ、信用してください。大人と同じく、赤ちゃんだって一人の人間、同じ人間はいません。一人一人の成長過程を持っています。
視力はさらに進んで、より多くの情報を取り入れています。目で見たものを認識し、手を伸ばしてつかまえて、さらに自分のところに引き寄せる、ということができるようになってきます。すなわち、視覚聴覚などで取り込んだ情報を処理して、手を使って取り寄せるという運動能力との連動が可能になったのです。大人は意識していませんから、このように表現すると「へぇ~」と思うかもしれませんが、生まれてすぐの頃は、自分の意思で体を動かすことはできなかったのです。わずか数~十数週間でこれだけの発達をする赤ちゃんは、ものすごい速度で進化しているわけです。
感情もさらに豊かになり、声の出し方にもバリエーションが出てきます。声を出して笑えるようになるのもこの頃からです。家の中だけにこもらず、積極的に外出もして、赤ちゃんと一緒にたくさんの刺激を受けてください。
すくすく赤ちゃん ⑫
16~20週に入ると赤ちゃんもぐんぐん成長して、もう新生児の頃のようなふにゃふにゃ感はなくなってきますね。手で物をつかむ事もぐんと上手になり、今まで持たされた物を少しつかんでいられた程度から、積極的に取ろうとしてきますし、またしっかりとつかみ続けられるようになってきます。手足の動きもしっかりとして力強くなり、仰向けになっているだけでもかなり体をずらすこともできます。寝返りといって、体を自分で仰向けからごろんと回ってうつぶせになることができるようになってきます。確かに仰向けに寝かせたはずなのに、いつのまにかうつぶせになって、もがいていたり、ぐずっていたりして驚くときも。自力で体を回せるようになると、自分でうつぶせになって眠ってしまう事もありますが、この頃にはかなり首もしっかりしていますから、顔をつぶして窒息する危険は減ってきます。しかし、一応危険を予測して、うつ伏せになっても大丈夫なように、布団のシーツはぴっちりと敷かれているか、手の届く範囲にかぶってしまうタオルや布団、その他がないか、顔が埋まってしまう枕やぬいぐるみなどないか、チェックしておきましょう。赤ちゃんには枕は2歳くらいまではほとんど必要ありません。寝返りができるようになっても、すぐに戻れる、というわけではなく、うつ伏せにはなったものの、それ以上動けず、また、頭を持ち上げないと回りも見えないしで、ぐずったり、怒ったりする、仰向けに直してあげると、またばたばたと手足を動かし、すぐごろんとなってしまう、で、またぐずる、こんな赤ちゃんもたくさんいますが、そのうち自分でもっと上手に動けるようになりますから心配は要りません。動けるようになると、赤ちゃんの好奇心はどんどんふくらみ、さらに動きを加えて自分の意思と行動をつなげようと発達が進んできます。
さらに1歳以下の赤ちゃんは初めてのもの、つかんだ物はなぜか口に持っていってしまう本能を持っています。動けなかった頃に比べるとはるかに広範囲に動きますから、窒息や中毒の原因となる口に入りやすいものや、なめて危険なものは赤ちゃんの行動範囲から必ず取除かねばなりません。うまく寝返りができるようになると、ごろごろ動きであっという間に移動して、奥の居間から玄関に落ちてしまった、なんてことは、実は以外によくある事故です。机の角に頭をぶつけたり、テーブルの下や棚の下に転がって、手の届くものを手当たり次第に引っ張り、顔の上に落としたりも。重いものやとがったものなら大変危険です。お母さんは一度赤ちゃんの目線まで自分の目を下げて、周囲を見回してみると良いでしょう。上から見ていては気がつかない危険を発見する事ができます。これは身近な危険を予防する最大の方法。
赤ちゃんの成長に合わせて目線を変えて細かくチェックしましょう。
でも、危ないから、といって赤ちゃんをベッドやサークルに閉じ込めっぱなしは考えもの。赤ちゃんの成長はこの時期から2歳頃まで、大きく加速度的に発達してゆきます。
赤ちゃんの行動できる範囲を十分に作って、好奇心を満たしてあげるのは、赤ちゃんの知能と身体機能の発達にとても大切な事。小さな危険はちょっとした注意で回避できます。できるだけ十分に動ける時間や場所を作ってあげてください。
寝返りのはじまりは、赤ちゃんの大きさ(太っている、細身、)、着ている服(厚着や薄着、動きやすさ)、赤ちゃんの好奇心などにも左右されるような微妙なもの。発達の進度は平均といわれる目安の前後2ヶ月くらいの差は普通にあるもの。遅い、早い等は心配しないでおおらかに見守ってください。
つかんだものをべたべたなめまわしては遊んでいる赤ちゃん。なんでも口に持っていってしまいます。赤ちゃんの触るものは清潔にしておいてください。だからといって消毒をしろ、というのではなく、よくなめるものは、時々さっと洗ったりふいたりしておいてください。離乳食を本格的にはじめるのもこの時期ですね。
すくすく赤ちゃん ⑬
赤ちゃんが16週~20週くらいになると、ずいぶんとしっかりしてきて、まわりのものを注視したり、欲しいモノに手を伸ばしたりと、赤ちゃんの意思のはっきりした行動がでてきますね。
今まで母乳やミルクだけに対応してきた赤ちゃんの消化器官も、この頃から、他の食べ物に対しても充分対応していけるだけの、消化機能の成長を見せはじめます。ヨダレがたくさんではじめるのはその証しです。
まわりで、何かを食べているとき、赤ちゃんが興味深げにじっと見ていたり、ヨダレがでてきて、欲しそうな表情をしている、などは、そろそろ離乳食スタートのサインです。
赤ちゃんの便の状態や体調を見て、調子の良いときから始めてみましょう。ただし、離乳食スタートの2ヶ月弱は、量を食べておなかを満たすのが目的ではありません。今まで母乳やミルクだけだったお腹をびっくりさせないように、そして、初めての口あたりや味になれさせることが、開始期の目的であることを忘れないで下さい。
又、赤ちゃんが他の味を嫌がった場合は、すぐに止めてかまいません。離乳食を与える全ての期間においての鉄則は、“無理強いしない”“好き、嫌いを決めつけない”こと、です。食事は楽しいもの、であって、イヤなものであってはなりません。
特に、はじめは、“なれる”ことが最大の目的。受け入れなかったら気にせず、1週間程、スタートをずらしましょう。赤ちゃんの“食べたい”というタイミングをつかむことが大切です。
早い子で4ヶ月前後、遅い子で6ヶ月前後でスタートすれば十分です。逆に3ヶ月以前は、消化期間の発達が不充分ですから、母乳やミルクだけで全く問題はありません。
カナダでの最初に与えるものとしてポピュラーなものは、アップルソースやライスシリアルでしょう。日本式ならおかゆやスープですね。スタート時期は糖質のものから入ると、胃や腸への負担が少なくて良いでしょう。はじめての時はどろどろのものを、2~3さじからはじめます。良く食べても食べなくてもはじめはそれでおしまい。その後、排便の状態、アレルギー症状などに注意して、次の日も同じで、3日目は、5~6さじにふやしてかまいません。でも、いやがったらすぐSTOP!です。
こうやって、量を少しずつふやして1週間、問題なければOKです。でも、どんなに食べても1回量は、小さな茶碗に1/2くらいで十分です。
次に、ちがった味にかえましょう。新しいものを与える時は必ず2~3さじから始めます。この初期の段階は、いろいろな味になれることが目的であることを忘れないで下さい。回数は1日1回、食べるようになっても、全量は茶碗1/2くらい。赤ちゃんの食欲にあわせて、1ヶ月~2ヶ月くらいで、2回食にします。
赤ちゃんの食べ物に味付けはほとんど不要です。つけても、うんとうす味で。素材の味を生かして食べさせる事で、好き嫌いを予防します。又、食べなくても、きらいだと思わないで。2~3日してあげたら食べたりしますし、調理法を変えたら食べたりします。好き嫌いは親が作るものです。ニコニコ笑顔で、おいしいね、と食べさせてあげることが大切です。
はじめての食材を2つ以上、一緒に与えるのはダメ。何らかの異常(アレルギー症状や排便の異常など)があった場合、食材の原因を追求しにくくなります。はじめての食材はいつも単体で加えて下さい。
すくすく赤ちゃん ⑭
食べ物に慣れてくれば、赤ちゃんの食欲や体調を見て、2回食にしてゆきましょう。このころはまだミルクのバリューが上です。授乳時間の間に入れてみます。順調なら1回食を始めて1~1.5ヶ月目でしょう。食べ慣れてくるにつれ、今まですんなり食べたものを急に食べなくなったり、ちょっと硬くなったら吐き出したり、急に食欲が落ちたりと、お母さんが困ることがでてくるのもこの頃から。
でも、焦りは禁物です。食欲が落ちたなら、少し量を減らしてみればよいし、硬いのがいやなら、一度やわらかく戻して、2~3日してちょっと硬めにしたり、と工夫してみましょう。赤ちゃんにも気分があります。
食事はいつも楽しいものでなくてはなりません。食べないなら、あっさり片付けてしまうのも大切です。おこったり、いらいらしたりして、げんなりしながら食べさせてはなりません。赤ちゃんだって、げんなり気分になってしまいます。もし、食事が乗り気じゃなさそうなら、家族の食事時間に合わせてみるのもひとつです。周りが楽しそうに食べていると、食べたくなることがよくあります。家族が食べるのを見せながら、一緒にあ~ん、とうながしてみましょう。おやつはまだ必要ありません。甘みの強すぎるもの、味の濃すぎるものは好き嫌いの元になりやすいのでこの時期ではまだ控えましょう。大人のものを取り分けるときは味付けをする前に取り分けるようにして、赤ちゃんのはいつも薄味を心がけてください。
食事のペースができてきて、口をもぐもぐよく動かし、意欲的で、1回の食事量が全体でこども茶碗かるく1杯くらいになってきたら3回食に移行します。これからが離乳食の本番です。月齢で言えば9ヶ月前後から。でもこの頃の赤ちゃんは知能もぐんと発達して、いたずらしたり、遊び食べになったり、食欲にむらが出たりしがちです。食事にはけじめをつけて、遊び出したら切り上げ、だからといって、おなかがすいただろう、と間におやつを入れてごまかしたりはしないようにします。口の動きが上手になってきたら、歯茎でかむのが上手にできるようになってきます。少しずつ食事の中に硬いものとやわらかいものを取り混ぜて与えてゆきましょう。3回食の内、1回くらいしか全量食べないときがあっても、あせらずに。1回はきちんと食べるなら、その時間帯を中心に進めてゆけばいい、と思ってください。
1歳~1歳半、時に2歳くらいまでにじっくりと時間をかけて、大人と大差ない硬さの食事内容に持ってゆきます。この間のミルクは1日合計400~600㏄に押さえます。母乳は3~4回ぐらいでいいでしょう。栄養の主体が離乳食に移行してゆきます。1歳前後になってもミルクや母乳ばかりほしがって、食事量が増えてゆかない場合、思い切って断乳すると食欲が出てくる場合もあります。でも、この方法は10ヶ月以前では行わないでくださいね。
離乳食はあまり食べないのに、おやつはよく食べる、おやつをほしがって困る、というのをよく聞きます。これは、離乳食が途中の段階で、おやつを与えて、甘い味(=心地よい味)を覚えてしまったため。おやつは好んで食べるものですが、栄養の助けにはなりません。離乳食を進めているときは、おやつはなくてもかまいません。3回食が完了して、断乳してからで十分です。まあ、普通の硬さの食事が順調に食べられるようになれば、断乳はいつでもOKです。
3回食になった頃から、母乳は栄養やおなかを満たす、という目的から、心を満たす精神安定剤の役割に変わってきます。おっぱいをくわえて心を落ち着かせる、安らかに眠りに落ちる、というように、体の栄養から心の栄養に変わります。大体1歳半~2歳を目安に断乳するのが、体にも心にもちょうどよいかな?と思いますが、3歳くらいまでおっぱいをくわえていても問題はありません。3歳くらいになると言葉も十分にわかってきますし、赤ちゃんではない、という自覚も生まれてきます。やめようと思えばすんなりとやめられるものです。1歳~2歳くらいではやめるときにちょっと工夫が必要。でも、簡単にやめることができます。
すくすく赤ちゃん ⑮
今月は断乳についてです。断乳は、赤ちゃんがおよそ普通の固さの食事を1日にコンスタンスに3回食べられるようになれば、いつでもかまいません。このころになるとおっぱいに目的は精神安定剤や睡眠導入の役割となり、栄養の役割はなくなります。
赤ちゃんの情緒のために、と3歳くらいまでおっぱいをあげるお母さんもいますが、特に問題はありません。3歳もこえてくると子供のほうに、もう赤ちゃんじゃない、ほかの子に恥ずかしい、などの自覚が出てきたりして自然に離れてゆくことも珍しくありません。
さて、1~2歳くらいで断乳する場合、(できれば1歳半以降のほうが望ましい)口で言うだけではあっさりとはいかないでしょう。そんなときは以下のようにやってみてください。意外とあっさりと離れてくれるものですよ。その方法とは、まず、断乳すると決めたらその日の前1週間、たっぷりと甘えさせ、おっぱいも好きなだけくわえさせてあげましょう。カレンダーに断乳の日の印をつけて、毎日赤ちゃんと一緒にカレンダーを見ながら、しるしの日を指さし、「この日になったらおっぱいとバイバイね」と教えます。そして2~3日前くらいから本人が理解しているか否かは考えず、でも、赤ちゃんの落ち着いているときを狙って、しっかりと目をあわせ、「もう大きくなったからおっぱいはもうすぐさよならしようね。」「もうすぐさよならだからおっぱいにありがとうしようね。」とやさしく話して聞かせます。そして、断乳当日、赤ちゃんが目覚める前にお母さんはおっぱいの両方の乳首にしっかりバンドエイドなどで乳首が見えないように、また高さもないようにつぶしてしまいます。そのあと、おっぱいに大きな目と、乳首のところは鼻、大きな口を二つのおっぱいにフェルトペンではっきりと描きます。これでOK。後は赤ちゃんが起きておっぱいを求めたら、このお絵かき乳首なしおっぱいを赤ちゃんに見せます。
「ほら、もうおっぱいはなくなっちゃったよ。もうお姉ちゃん(お兄ちゃん)になったから,おっぱいとはさよなら,って約束したでしょう。」と、優しく言って聞かせます。
たとえ、乳首にわざとらしくバンドエイドが貼ってあっても、なぜか赤ちゃんはあえてそれをはがそうとはしません。乳首がなくなると吸い付くことができなくなり、おっぱいを見ると、不思議な顔をしてあきらめてしまうはずです。また後でほしくなったら、何度でもそのおっぱいを見せます。後は、食事などで食欲は満たし、ほかの時間は十分にスキンシップを取って遊んであげるようにしてください。おっぱいを求めたときは、何度でも優しく(決して叱らず!!)おっぱいを見せてください。
おっぱいを見た赤ちゃんがあきらめたときは、「偉いね、もうおおきいからさよならできるんだね!」とどんどんほめてあげてください。そして違うものに興味の対象を向けてください。
これを最低でも3日~1週間続ければ、赤ちゃんはおっぱいを飲む、という本能の行為を忘れてしまうとともに、興味をなくしてゆきます。お母さんのおっぱいは、飲ませないと一時的に張ってきますから、はったら3分だけ絞って捨てて〈空にしない!〉 軽く圧を抜く程度で放置します。硬いところ、熱を持つところなどがあった場合、ハンカチを冷たい水で冷やして〈決して氷は使わない!!〉 あてておきます。おっぱいは1週間を過ぎるころからぐんぐん落ち着いて、徐々に分泌を減らしてゆきます。このあたり、3日め、1週間目くらいにプロの断乳マッサージを受けることを勧めします。
断乳してから1ヶ月ほどは赤ちゃんが吸い付くと、また母乳産生が復活するので、最低でも1ヶ月は乳首を決して赤ちゃんに見せてはなりません。2ヶ月ほどで、ほとんど完全に母乳もストップします。赤ちゃんは乳首を見ると、吸い付いてしまいます。でも、乳首がないと吸い付けないのです。この方法は、一番赤ちゃんにもストレスを与えないですみますから、ぜひ試してみてください。お母さんも、赤ちゃんに対してはにこやかに、おっぱいがなくても平気だよって優しい雰囲気で相手してあげてください。
お母さんが悲しがったり、いらいらして接したらだめですよ。赤ちゃんは全身レーダーのように周りに雰囲気、特にお母さんの感情を読み取ります。赤ちゃんをおっとり、伸びやかに育てるには、まずお母さんがおっとり、伸びやかであることが大切です。
おっぱいをあげるにはしんどくて、早くやめたい、と思いますか?
おっぱいをあげる時間は、赤ちゃんにとって一番リラックスして幸せな時間です。お母さんもゆったりとして、赤ちゃんとのスキンシップの静かな時間を安らかに過ごしてみてください。
もし、仕事の復帰の為にボトルを使う必要があるなら、その2ヶ月前くらいから少しずつボトルに慣れさせる練習が必要です。
でも、さしあたりボトルにしなければならない理由がないならば、母乳を出来るだけ長く続けてください。母乳にはFMにないたくさんのメリットがあります。
母乳は赤ちゃんを病気にかかる確率を引き下げ、脳細胞の発達を促し、精神的発達と情緒の安定を伸ばすものとして、医学的数値からも証明されています。でもたとえ母乳でなくても、ボトルでもお母さんが胸に抱いて授乳する時間をできるだけ多くとり、2人の時間を大切にしてくださいね。
すくすく赤ちゃん ⑯
前回まで離乳食、断乳と話が少し横道にそれてしまいましたね。今回から、また本線に戻りましょう。 20~24週の赤ちゃんはずいぶん体も表情もしっかりしてきます。好きなおもちゃがでてきたり、人見知りをしたり、他のものにたいしてのはっきりした興味や反応を示します。早い子ならうつ伏せになった状態から、しっかりと上半身を起こし、はいはいの前段階、後ろにずりずりと移動し始めることでしょう。たっちの姿勢にして足を床につけるとかなりしっかりと踏ん張ってみたり、ぴょんぴょんとはねるようにして遊んだりすることも。手足の筋肉がずいぶん発達してきています。
首ももうしっかりとして、ぐらぐらもほとんどなくなってきますから、たて抱きも楽になってきますね。バスチェアを使って赤ちゃんを中に座らせて、お母さんは外から赤ちゃんをお風呂に入れたりもできるようになります。まだ支えなしでお座りは難しいのですが、発達の早い赤ちゃんだと、安定したところに座らせて数秒くらいバランスを取っていられることもあります。
でも、まだ体の下半身まで神経発達が行き届いてはいませんので、体のバランスを取って長く座ることはできませんから、赤ちゃんを座らせておきたいときは、左右、背面にしっかり支えを置いて赤ちゃんを固定するようにしてください。動く能力がつけばつくほど、赤ちゃんはじっと寝ているのを嫌がります。ごろごろ転がって、思うように移動できなくて怒ったり、かと思うと器用に寝返りを繰り返して、あっという間にどこかに移動してしまったり、おかあさんをびっくりさせることもあります。赤ちゃんを床に下ろしているときは周囲にあたって危険なものはないか、移動して落ちたり、挟まったりするようなことがないか気をつけてください。また体を起こしていられるようになっても、まだ不十分なバランスから、急にそっくり返ったりして、お母さんのあごに頭突きを食らわしたり、いきおいついて壁や柱に頭をぶつけたり、意外によくあること。でも大怪我をする場合もありますから十分注意してください。
お母さんは赤ちゃんにとってこの世で一番大好きな存在。ほかの人とお母さんの区別がしっかりついていますから、お母さん以外の人があやすとちょっと緊張したように硬い表情になったり、泣き出したりすることもそろそろ出てきます。これも正常な発達のひとつです。人見知りの程度、期間は子供のおかれた環境などにも左右され、かなり個人差が出てきます。人見知りの時期はお母さんべったりになりがちで、ちょっと大変に感じるかもしれませんが、いずれおさまってきますから、あまり神経質にならないようにしましょう。
注視,追視もしっかりとして、視力も少しずつ伸びてゆきます。見る遊びができるようになってきます。おもちゃを追ったり、いないいないばあをしたり。目の前の不思議な変化を楽しめるようになって、赤ちゃんはますます脳を発達させてゆきます。
つかんでいただけのおもちゃも、それを何かにたたきつけたりして振動を楽しんだり、音や変化を楽しんだりもできます。これらの発達は運動神経の発達をさらにうながします。
赤ちゃんは本当に毎日、1分1秒おしまず発達しているんですね。
このような赤ちゃんの自然な発達をさらに助けるのは環境です。お母さんや家族の積極的な語りかけ、見せるさまざまな表情、室内や室外の刺激、暖かな抱っこのぬくもり。これらが赤ちゃんの健やかな発達を助けます。赤ちゃんの変化を楽しみながら育児をしていってほしいですね。
すくすく赤ちゃん ⑰
24週~28週ころになると赤ちゃんもずいぶんとしっかりしてきます。赤ちゃんのぽやんとした雰囲気から、けっこうしっかりとした表情で意思を表したりします。少しずつ体の動きが自分の意思にあってくるようになり、早いと上手にはいはいをする子も。はいはいの始まりはうつ伏せでおしりをピコピコと持ち上げるようになったら。そのうち、両手をしっかり踏ん張って体を起こして、おしりピコピコで、まず体を後ろにずらしてゆけるようになります。これはこれでけっこう行動範囲が広がるので気をつけて。特に後ろ向きですから段差などに落ちると危険です。
後ろはいはいになれるころ、腕の力がさらにしっかりしてきて、腕を片方ずつ持ち上げて、自分の体を前に押し出す方法をいつの間にか学び取ります。さあ、こうなったら、赤ちゃんの行動範囲はど~んと広がって赤ちゃん天下です。興味のあるものを見つけたら突進してゆきます。お母さん、お父さんは赤ちゃんの目の高さになって周りを見回してみてください。上から見ていたのでは気がつかない危険を見つけることができます。赤ちゃんの顔の位置に突起物はないか、手の届く範囲で引っ張ったりして危険なものはないか。手を触れて危険なものはないか? 赤ちゃんが絡まってしまうような紐やコード、他が落ちていないか。小さなものは落ちていないか。
赤ちゃんは、必ず何か見つけると自分の口で確かめようとします。食べ物でも小さくてうまく飲み込んでしまえばいいけれど、のどに詰まったり、はりついたりしたら危険です。また、小さくても誤って気道に落ち込んだらやはり危険。なめたりするだけで中毒を起こしてしまうようなものも家庭にはいっぱいあります。常に赤ちゃんの成長に合わせ、赤ちゃんの行動範囲、目の位置を大人がしっかり見極めて、赤ちゃんの世界から危険を取り除く努力をしてください。
赤ちゃんは何もわからないから、と思っていませんか?
赤ちゃんは生まれたときから、全身をレーダーのようにして周りの雰囲気を感じ取っています。大人のするような会話の形は取れませんが、結構こちらの言っていること、わかっているんですよ。言葉の持つ感情を読み取っています。だから、赤ちゃんにはいつもまっすぐに目を合わせて、たくさんおしゃべりをしてあげてください。赤ちゃんはそれを聞いて、聞いて、ためて、ためて、発語につなげてゆきます。このころの赤ちゃんは、「きゃっきゃっ」とかわいい声で笑ったり、「あっくー、うっくー」と機嫌よく話したり、「うー!ぎー!」と文句を言ったり、泣くだけのころとは違った発声を感情豊かに表現していますよね。これらは赤ちゃんのおしゃべりの練習なんです。
赤ちゃんの視力が外界の、見るという刺激を受けて日々発達してゆくように、言葉もまた、日々、周りの話を聞いて、周りの口の動きを見て習得、発達してゆくものなのです。
お父さんとお母さんが違う言葉を使う場合、赤ちゃんは混乱しないかしら?と心配するお母さんもいますが、この場合、赤ちゃんの言葉は普通の子より、始まりが遅くなる場合がありますが、ほとんど心配は要りません。ちゃんと二つの言葉をインプットしていきます。ただ、大きくなるにつれ、どの言葉が生活の中で多用するか、本人にとって必要となってくる頻度があるかで、優先言語が出てきてしまいますが。言葉の習得については個人差が大きく、家庭環境や子供の性質なども大きく絡んで異なってきますので、ここでは割愛しますが、親がしっかりとした態度で、子供に正確に、はっきりと話しかけてゆく限り、多言語であっても子供は理解してゆきます。
いつもたくさんお話してあげましょう。
すくすく赤ちゃん ⑲
30週前後に入ってくると、はいはいも上手にできる子が増えてきますね。腕の力もしっかりしてきて何かにつかまってつかまりだちを始める子もいます。何でもかんでもつかんだら引き寄せるのが赤ちゃんの習性、それにくわえてはいはいしたり、伝い歩きをしたりで、手の届く範囲は大きく広がります。垂れ下がっているコードは無いでしょうか?支えにして立ち上がってひっくり返ってしまうものは無いでしょうか?体が絡んでしまう紐やコード、ブラインドの紐などが赤ちゃんの範囲にはありませんか?つまんで口に入れてしまえるものは出ていませんか?必ず赤ちゃんの行動範囲、目の高さにあわせて大人が周りを見回し、この際インテリアはちょっと無視して、赤ちゃんの安全を優先に空間を作ってあげてください。危ないから、とベッドやサークルに入れっぱなしではかえって赤ちゃんの運動能力の発達や学習能力の発達を阻害してしまいます。多少の失敗や痛い思いをして、赤ちゃんも学んではゆきますが、大怪我につながったり、命に関わる危険は大人が十分に注意して回避しなければなりません。
テーブルから下がっているコードをひっぱたところ、頭上に炊飯ジャーや電話が落ちてきて大怪我をした、テーブルクロスをひっぱたら、上にのっていた熱い飲み物が落ちてきてやけどをした、炊飯ジャーに手を置いて、蒸気の噴出し口でやけどをした、抱っこして食事をしていたら、手を熱いスープの中に突っ込んでやけどした、ビニール袋で遊んでいて、噛みちぎってのどに引っ掛けてしまった、パパの灰皿に手を届かして、吸殻を食べてしまった、などなど家庭に中にも危険な事故例はいっぱいです。これらはすべて日常、よくある事故の実例です。自分たちは大丈夫、と決して考えてはなりません。1ヶ月に2回は赤ちゃんの位置に目をもって行っての危険発見行動、是非、行ってください。
さて、はいはいしないで、立ってしまう赤ちゃんもよくいます。はいはいは腕、足、胸や腹などの筋肉をくまなく鍛えるのでとてもよいこと。つかまりやすいものをよけて、空間を広げ、はう環境を与えてあげるのもいいでしょう。お座りもずいぶん上手になって、長時間座っていられるようになりますね。この頃は自分で体を起こして座ったり、はったりを上手にこなしてくる赤ちゃんもいます。でも、赤ちゃんは、不意に後ろにひっくり返ったりすることがあります。座っているとき、後ろに硬いものが無いか注意して、ひっくり返っても大丈夫なようにクッションのようなものをおいておいてあげるといいでしょう。また、この頃の赤ちゃんは周りをよく観察してまねをする能力がついてきます。意外とお母さんの行動をよく見ていて、自分もやってみようとするときがあります。もちろん、まだ、完全にまねるほどに運動能力ができているわけではありませんから、とにかく、触ろう、とする行動になります。シャープなはしやフォーク、化粧品、かみそり、など大人の触るものに興味津々。
触れば全部、口に入れて確かめようとしますから、なめたり触ったり、飲んだりして危険なものは赤ちゃんの目線から離して、しっかり片付けてください。
行動範囲が広がれば広がるほど赤ちゃんの好奇は風船を膨らますようにどんどんとふくらんでゆきます。積極的に外出もして、いろいろな空気、環境を味あわせてあげてくださいね。
すくすく赤ちゃん ⑳
月齢9~10ヶ月になってくると、いよいよ赤ちゃんの知能、好奇心は発達し、体の動きもめざましくなってきます。まさに、1日1日と成長してゆきます。昨日できなかったことが今日はできている、何てこともしょっちゅう! 新生児のころは「早くはいはいしたり、歩いたりするといいなぁ」と思っていたお母さんも、一日中赤ちゃんのめまぐるしい動きを追っかけて、うれしいため息をついているのではないでしょうか?
赤ちゃんの発達にはかなり大きな範囲で個人差があります。このころにやっと芋虫ごろごろと動く子もいれば、ずりばい、といっておしりやおなかをずりずりさせながら移動する子もいますし、上手にハイハイする子もいます。つかまり立ちや伝い歩きができてしまう子もいます。うんと早い子だと、ヨチヨチと一人歩きの1歩を踏み出す子もいます。このコラムで何度もお話していますが、赤ちゃん時代はこれだけ大きな個人差があって当たり前。本の知識や他人の評価、近所の子供などに目をやらず、自分の子供の今日までの歩みをしっかり見てあげてくださいね。そうすれば着実に成長しているのがわかります。それが大切なことです。
また、赤ちゃんは頭の発達から、体の発達へと伝わってくるのですが、頭のほうも飛躍的に成長してゆきます。少しの間や、ある程度の記憶力がついてきます。前のものを覚えて期待する、要求する、ということができるようになってきます。Pee-Ka-Boo!!(いないないばあ)を喜ぶようになるのも記憶力の発達から。お母さんは特別な人としてしっかり認識していますから、人見知りを始めたり、お母さんの後ばかり追っかけて、ちょっと見えなくなるとぐずったり、などものころからよく始まります。お母さんべったりで、お母さんもやれやれ、と思うかも知れませんが、これも赤ちゃんの正常な発達過程をあらわしています。徐々にまた変わってゆきますから、おつきあいしてあげてください。
知能の発達と体の発達がつながって、いろいろなまねをすることができるようになります。バイバイ、と手を振ったり、こんにちは、と頭を下げたり、相手の行動を見て、また、言葉を聞いて、赤ちゃん自身で反応することができるようになったわけです。
また、言葉と行動をあわせることによって、はっきりした言語としての意味はわからなくても、何を表しているのかは理解するようになります。最初は、「あ~、うっく~」、という声も「なんなんなん~」、とか、「たったった~」とか表現も変わってきて、「まんまんまん~」から、「まんま~」とつながってゆきます。お母さんや周りの呼びかけ、ママよ、という会話から、お母さんを呼ぶとき、「まんま、まんま」となります。ご飯のときも、「まんま」、と教えるお母さんが多いでしょうから、食べたいときに「まんまんまんまんま…」.と言う赤ちゃんもたくさんいるでしょう。このような単純な音の繰りかえしが、やがて「ニャンニャン」や「ワンワン」、「ブーブー」といった赤ちゃんの言葉、単語の基礎につながってゆきます。
赤ちゃんは周りの会話や、自分に話しかけられる言葉を聞いて、言葉のもとをふくらませてゆきます。パパとママが違う言葉で話していても、ちゃんと両方理解してゆきます。聞いて、聞いて、発語につなげてゆきます。積極的話しかけるようにしてください。無理に赤ちゃん言葉を話す必要は余りありません。むしろ、きれいで正しい言葉を使ってあげるように心がけましょう。子は親の鏡、といいます。これは本当。子供はもっとも身近な親、兄弟の言動を真似て習得してゆきます。赤ちゃんとはいえ、育ち始めた記憶力でしっかりと親の言葉、行動を見ています。よい子に育てたい、と誰もが思うでしょう。それなら親が普段の生活を考えてゆかねばなりません。
すくすく赤ちゃん ㉑
お誕生前になってくると、赤ちゃんの体はますます力強くなってゆきます。たとえハイハイであっても、腕の力も足の力も、そして背筋も強くなってきていますから、かなり高さがあってもよじ登ろうとします。記憶力も増えてきて、大人のやることを覚えてまねをしようとすることもあります。
危険なものの認識はありませんから、何でもかんでも触れよう、なめよう、とします。もう一度赤ちゃんの目の高さに自分の目をやってみてください。そして赤ちゃんの行動範囲、手の届く高さをよく把握し、どのようなものが赤ちゃんに見え、何が危険につながるかを見つけなければなりません。赤ちゃんを隔離してしまうよりは、そうやって前もって危険を取り除くようにしておくと良いでしょう。大人にとっては困ること、やってほしくないことでも、赤ちゃんにとっては成長発達の証であり、更なる発達への過程ですから、受け入れなければならないのです。
三つ子の魂百まで、との言葉どおり、1歳前後から3歳くらいまでの赤ちゃんの知能発達はものすごいものです。何でもかんでも吸収してゆく感じです。そして人間としての基礎を築いてゆきます。昨日より今日、そして明日、と驚くべき速度で変化してゆきます。大人の都合ばかりで赤ちゃんの発達の行動を押さえ込んでしまうのではなく、観察しながら、危険をできる限り取り除きながら、ある程度やらせてあげることは大切なことです。
この頃から断乳、卒乳した赤ちゃんもいるでしょう。
おっぱいとさよならして赤ちゃんは、またひとつ大きく成長してゆきます。赤ちゃんの成長を見つめながら毎日を楽しく過ごしてください。
すくすく赤ちゃん 最終話
いよいよ、赤ちゃんは幼児、と呼ばれる新しい世界にステップアップしてゆきます。1歳~1歳半までは多くの赤ちゃんが一人歩きを始めるでしょう。はいはいしていた世界から、いきなり視野が広くなり、自ら進むことで赤ちゃんは自分自身で広く広く、無限に世界を広げ始めます。かわいい、かわいいではすまなくなる時代がやってきたのです。大人の思うようには動かず、本人のしっかりとした?意思で自己を表現しようとし、行動をとろうとし始めます。すなわち、「NO」の始まりです。
今まではお母さんや周りの受動態でした。これからは違います。ここではじめてお母さんは、「あぁ、寝ているだけのときがよかった?」と思うことでしょう。言葉の発達も著しくなり、一生懸命言葉にするための声を出したり、大人の言葉を片言なりと真似て発音しようとしたりします。行動もしっかり見ていて、なんでも自分でやりたがります。でも、危険の判断もできませんし、自分の身をまもる判断もできません。時間の観念も、対人関係のルールも何も知りません。これはもちろん当たり前のこと。
ところが、子供の行動範囲が広がり、「NO」の表現ができるようになると、お母さんは、今までのようにお母さんのペースで動けていたのに、しばしばそれを崩されるため、つい、いらいらしてきてしまいます。相手が何もわかっていないのは承知しているに、腹が立ってしまう、つい怒鳴ってしまう、時に手を上げそうになってしまう、こんな場面が出てくるのも、この時期からなのです。
親のいらいらはよくわかります。どの家庭も必ず経験することです。これからが、親子関係の新しいステップであり、子供にとっては家族の中の宝物、という存在から、社会という広い世界での、一人の人間としての新しい学習と成長の段階に入ったのです。
でもどうか忘れないでください。まだ、この段階での知識はまったくの白紙です。いらいらしたとき、一歩下がって深呼吸してください。そして、ついこの間までは動けなかった赤ちゃんだったこと、思い出してください。今できることのすごさに気がついてください。この世に生まれてまだわずか10数ヶ月であることに気がついてください。
そうして、今を受け止めてあげる。そこから人間としての新しい教育が始まります。
子供がさからう(ようにみえる)行動も、「NO」の表現も、すべては愛するあなたにこそ見せるものです。自分のできる、できた、したい、を大好きな大好きなお母さんに見せているのです。自分のすべてをお母さんに見せているのです。お母さんには困ったことも、実は「愛しているよ!、ママ、僕(私)を見て!」の表現でもありますから、ど~んとおおらかに受けとめつつ、危険を取り除き、安全に努め、成長のめまぐるしい変化を見つめていってください。
MOMはこれからもカナダで、世界でがんばるお母さんと子供たちを応援してゆきたいと思います。育児の日々に、ちょっと困ったり煮詰まったら、ぜひ気楽にMOMに電話をしてくださいね。
すくすく赤ちゃん 番外編 ビタミンDのはなし
今回は、ちょっとおまけでビタミンDについてお話しましょう。
昨今、新聞などでカナダ人成人のビタミンDの摂取量がとても低いので、食事に注意したり、サプリメントで補いましょう、という記事が出ていたのを記憶されている方も多いと思います。ビタミンDは人間が自分で作り出せる唯一のビタミンです。通常、お日様に15分もあたっていれば皮膚の下で十分なビタミンDが作り出されます。
また、ビタミンDをたくさん含む食材を積極的にとることも大切です。
ビタミンDはどのような働きをするのでしょうか。ビタミンDの中で特に重要な存在はD2とD3です。でも、食事だけでは必要な全体量の半分くらいといわれています。これら体内に入ったビタミンD2は、日光浴で紫外線を浴びることによりD3に変わります。また皮膚の下で新たなD3も作り出されます。D3に変わることでカルシウムやリン、ビタミンAの吸収、定着を助け、骨や神経細胞の組成に関わります。カルシウムを骨や歯に定着させる、ということは、言うまでも無く、丈夫な骨や歯を作るために不可欠であるということ。成長著しい胎児期から乳幼児期には特に注意して摂取すべきビタミンですね。
また、ビタミンDは体の免疫機能を強め、病気から体を守る力を高めます。また、脳細胞の発達にも関わります。妊婦さんや、乳幼児を持つお母さんは、積極的に外を散歩してお日様の下に(紫外線)体をあてるとともに、ビタミンDを多く含む食品を日常の食卓に加えてゆかねばなりません。
日光浴、といってもわずか10分~20分くらいで体に必要なビタミンDの組成には十分といわれています。真っ黒になるまで日にあたる必要はありません。天気のよい日は、15分の散歩をお子さんとともに毎日組み入れてみてください。新生児でもOKです。まずは5分からはじめてみましょう。
前述のカナダ人の例では、まず、カナダの日照時間が少ないこと(秋~春先までの天候が悪い)、食事の中にビタミンDを含む食材が極端に少ないことから起こっています。ビタミンDは、食材では主に、鮭、にしん、かつお、まぐろ、しらす、うなぎ、カレイ,さんま、などの魚類、しいたけ、マッシュルーム、シメジ、えのきなどのきのこ類、バター、乳製品、少なめですが卵黄などに含まれています。どうですか?このような食材があなたの日常の食卓に並んでいますか?
こうして食材を見ていただければわかるとおり、北米の食材にはビタミンDの含まれた食材があまり多くないのは事実です。アジアなどの食材には比較的多く含まれていますね。そのため、ここ、カナダでは、新生児期からシロップのビタミンDを与えるように指導されています。(アジアでは行われていません) こんなに重要なビタミンなら積極的にシロップを与えなくては、と思われるかもしれませんが、与えなくても、毎日の食事でビタミンDやカルシウムが十分に摂れているなら、それほど心配は要りません。
サプリメントに頼るのは簡単ですが、サプリメントばかりに頼って、食事として不十分な生活を続けていると、人間の体は、本来食事から順番に消化過程を経て、適切に栄養を取り込んでゆく、という生命維持に必須の能力を低下させるといわれています。これでは、いくらサプリメントをとっても自然の能力を低下させるのでは本末転倒になってしまいますね。またサプリメントは80%以上簡単に排泄されてしまうのです。
まず、食事をきちんと考える、一日1回15分の散歩(日光浴)を行う、など自然の生活の形から整えてゆくことが望ましいと思います。
余談ですが、最近の干しいたけは熱風乾燥させているものがほとんどです。これではビタミンDがあまり含まれていません。買ってきたら、袋から出し、天気のよい日に天日に1時間以上干してみてください。これだけでビタミンDが10倍に増えますよ。半日干せればベストですね。是非やってみてくださいね。国際結婚の家庭の場合、ご主人の好みなどからビタミンDの含まれた食材を使う機会が少ない、という方もいらっしゃるかもしれませんね。もし、あなたが妊娠中や授乳期なら、思い切って自分と子供のためだけの料理を作ってください。かわいい子供のためなら、きっとご主人も納得してくれると思いますよ。